『数学ガール』の作業は編集部のほうでもすべて終わり、あとは出版を待つばかりとなりました。
ちょうどよい機会ということで、メインの登場人物三人を仮想的に招待して食事会を開きました。
以下はそのときの様子です。都合上「僕」は「彼」と表現しています。
* * *
編集長「今日はお忙しいところお集まりいただき、ありがとうございます。もうすぐ結城さんの『数学ガール』が出版になります。すっきりとした仕上がりで、内容はもちろん、装丁・イラストともに素晴らしい本が完成しました。みなさんお疲れさまでした」
結城浩「いま編集長さんからもありましたが、ほんとうにご協力ありがとうございました。著者として、たいへんうれしいです。読者さんの期待も高いです。あとはこの『数学ガール』を必要としている方に無事に届くことを祈るばかりです」
彼「僕から――僕たちからも、結城先生やみなさんにお礼を言いたいです。ありがとうございました」
ミルカさん「なかなか、楽しかったです」
テトラちゃん「えとえと。何だか、あの、ちょっと恥ずかしいところもあるんですけど…。でも、良い経験でした。ありがとうございます」
彼「編集長さん、書店に並ぶ正確な日付はわかるんでしょうか」
編集長「ばらつきはあるんですが、都内ですと早いところで6月27日頃から並び始めると思います。地方ですと29日頃からでしょうか」
テトラちゃん「何だか、どきどきです」
編集長「じゃ、乾杯して食事としましょう。ビュフェスタイルなので、あちらから自由に好きなものを…」
(それぞれ自由に食事。未成年が多いのでアルコールは抜きです)
編集長「結城さん、前回の数学本
『プログラマの数学』は読みやすいと評判です」
結城浩「ありがとうございます。でも『プログラマの数学』の最終章はちょっと難しかったでしょうか。まあ、カウンタブルな集合や、カントールの対角線論法は知ってたほうがよいでしょうけれど」
編集長「説明の中に出てきた「1, 2, 3, 4, ...(1以上の整数)」と「0, 2, 4, 6, ...(0以上の偶数全体)」を対応させられるというのは、はじめて聞く人はびっくりしますよね」
結城浩「そうかもしれません。全体と部分を一対一に対応付けできるというのは無限の本質の一つでしょう」
テトラちゃん「結城先生、今回の『数学ガール』はあたしたちのような高校生が読むことになるんですか?」
結城浩「うん。きみたちのような、数学に興味がある高校生は楽しく読んでもらえると思うよ。わかるところとわからないところが混在するかも知れないけれど。購買者としては、大学生から社会人がメインになるのかなあ、私にもはっきりとはわかりませんね…」
ミルカさん「先生の奥様は原稿をお読みになったんですか」
結城浩「うん、読んでたね。数式は飛ばしたけど面白いって言ってたよ(笑)」
テトラちゃん「あたし、失敗ばっかりで恥ずかしい…」
彼「そんなことないって。頑張ってチャレンジしてたじゃないか。…あっ、フォークフォーク!落ちる落ちる」
テトラちゃん「うぉっとう!」
ミルカさん「そういえば先生、今回はないんでしょうか?」
結城浩「ん? 何が?」
ミルカさん「数学クイズ」
結城浩「…見抜かれてるし。数学クイズ、あります。きみたちが好きそうな問題を用意してあります。この数式の値を求めなさいという問題。村木先生の真似をして、カードに書いてきました。はい、これです。どうぞ」
(高校生三人はさっと真面目な顔になり、カードをのぞき込む)
テトラちゃん「ルート2のルート2のルート2のルート2の…。(小声で)ねえ先輩。これって、私でも求められそうですか」
彼「うーん…たぶん、求められると思うな。…あ、わかった。うん、基本に忠実にやれば大丈夫、求められそう」
テトラちゃん「基本?」
彼「数列の極限値を求める問題とみなす。一般項の形を考えて、その極限を調べる。…だから、定式化するとこうかな」
テトラちゃん「え、ええっと…。あ、あの一応、聞いておきますが、でも、こういうの、高校の範囲を越えてますよね?」
結城浩「この問題は、ある大学の入試問題なんだけどね」
テトラちゃん「げ!」
結城浩「あ、でもずいぶん昔の問題だから、いまの教育課程とは違うかもしれないけれど」
ミルカさん「先生、この数式の値が《ある正の値に収束する》ことは仮定してもいいんですか?」
結城浩「え? …どうして?」
ミルカさん「収束を仮定してよいとするなら、値はすぐに求められるからです。無限の意味を考えれば、一瞬で」
* * *
読者のみなさんへ:
「彼」が定式化した問題がメインになります。解答したい方はfeedbackからどうぞ。
余裕のある方はミルカさんの「一瞬で求める」という方法も考えてみてください。まあ、何が「一瞬」かは人によって違いますけれど…。
いつものように、
解答は、日記などで公開させていただくかもしれませんので、そのおつもりで。
もちろん、自分のblogに書いて、URLを送ってくださってもOKです
(どちらかといえばURLを送ってもらうほうがよいです)。
結城の用意した解答は、2007年6月19日に公開する予定です。
Enjoy!
追記(2007-06-19)
解答編はこちらです。