(付記:このセミナーの一部は、2012年5月15日配送のメルマガ Vol.007 にて配送しました)
(付記:このセミナーの内容は、書籍『数学ガールの誕生』としてまとめられました)
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2012年5月9日、北海道 函館にある「公立はこだて未来大学」で「結城浩セミナー」を実施しました。
結城浩セミナー?
結城は、
未来大学複雑系知能学科の高村博之教授からの招聘を受けて、
「『数学ガール』の誕生と展開」
というタイトルの講演とフリーディスカッションを行いました。
その全体が「結城浩セミナー」です。
詳しいプログラムは次のようなもの。
結城浩セミナー@公立はこだて未来大学
日時:平成24年5月9日(水)15:00〜(17:00の予定)
会場:公立はこだて未来大学情報ライブラリー南側フリースペース
講師:結城浩 氏(「数学ガール」シリーズ著者)
参加者:24名
世話人:公立はこだて未来大学・システム情報科学部・複雑系知能学科 高村博之
注意事項:参加者による写真撮影と音声録音は禁止です。
■プログラム
1. スピーチ「数学物語『数学ガール』の誕生と展開」
(結城氏)
2. 質疑応答とフリーディスカッション
(結城氏+公立はこだて未来大学関連有志メンバー)
・「数学ガール」シリーズについて
・数学および数学教育について
・学ぶ、伝える、教える、説明する、理解することについて
・(ネットのように)直接会わずに学びあうことと、
(ゼミのように) 直接会って学びあうことについて
・その他、結城氏の活動について
3. 親睦会
※結城氏は著書へのサインなどの依頼に応じていただけるそうです。
そもそもの経緯
先日もこの日記でシェアしましたが、
高村先生の研究室の学生さんが、数学ガールのコミック版を題材に卒業論文をお書きになりました。
高村先生が(編集部経由で)結城にその卒業論文を送って下さいました。
高村先生とメールのやりとりの中で、先生から結城に講演の依頼がありました。
結城は現在のところパブリックな場での講演は基本的にお断りしています。
でも『数学ガール/ガロア理論』の出版直前の「農閑期」というタイミングと、
高村先生の熱いお招きにより、
例外的に今回のようなセミナーを実施することとなりました。
ありがとうございます。
公立はこだて未来大学について
恥ずかしながら、高村先生から連絡をいただくまで、結城は「公立はこだて未来大学」のことを知りませんでした(すみません)。
Webで調べて「ずいぶんきれいな大学だなあ…それにしても、未来大学ってすごい名前だなあ」という感想を持ったことを覚えています。
ところが。
未来大に今回お邪魔して、非常に非常に驚きました。
「これは…ほんとうに未来大学だ!」
大きな建物に、ふんだんにガラスを使った高い吹き抜けと、これ以上ないほどオープンな空間が演出されています。
よくSF映画に出てくるような未来感にあふれた建物がリアルに存在していることに驚愕しました。
単にきれいなだけではなく、あちこちに椅子とテーブルが配置され、自由にミニ講座を開いたり、自主ゼミを開いたりできます。
空中に浮かんでいるような「デルタ」スペースがあったり、
広場の中にくぼんだ空間があったり、たいへん想像力を刺激されるアーキテクチャでした。
結城がいったときも、「デルタ」スペースで何グループかがハッカソン的なことをやっていましたね。
もちろん教室、講堂、研究室、図書室、コンピュータ室のような普通の部屋もあるのですが、
側面がガラス張りになっているところがほとんどで、どこにいてもすべてが見通せるような感覚。
そこにあるのは未来の空間でした。
お話によれば、オープンキャンパスで未来大を見学に来て惚れ込む高校生は多いとか。
それはとても頷けます。
建物だけではなく、
先生方や学生さんたちとお話をして、
この大学は「教育」ということにたいへん熱心な大学だという印象を受けました。
大学が教育に熱心なのは当然といえば当然ですけれど、特に「教育」に重きを置いているということです。
知的空間、コラボレーション、発想に興味のある方は必見の場所だと思います。
結城浩セミナー
さて、今回の結城浩セミナーは、
その未来大の図書館(情報ライブラリー)のフリースペースをお借りして実施しました。
図書館の中で議論なんて、まるで双倉図書館のようですね。(^_^)
フリースペースといっても、
豊かに声が反響する吹き抜けの場所で、たいへんオープンな気持ちになれるところです。
これ以上ないオープンな場所でのクローズドなセミナーという不思議な組みあわせとなりました。
そこで、20数名の方々と楽しい対話が繰り広げられたのです。
結城は、プロジェクタを使って「数学ガール」シリーズの流れを追いつつ、
各巻に込められた教育的なメッセージをピックアップして紹介するというスピーチを約1時間行いました。
その後、有志のみなさんとのフリーディスカッションが約1時間半。
先生と学生が半々くらいの構成で、みなさんは、椅子やクッションに座り、
おもいおもいにくつろぐ感じでの参加です。
ディスカッションの内容は、主に数学ガール執筆にまつわる話ですが、
先生方からは、ご自身の教育現場の場面を想像しつつの質問が多かったようです。
数学ガールにおける読者に対する動機付けの方法や、トピックと説明の分量の調整についてなど、
形式的な質問と回答ではなく、かなり突っ込んだ内容のやりとりができたと思います。
結城はクールで落ち着いたセミナーにしようと思ったのですが、
当然そんなことは不可能でして、
「数学ガール」シリーズに込めた思いを熱く熱く語る時間となりました。
結果的に予定した時間を30分以上オーバーしてしまいましたが、
その盛り上がりを関係者の方々がうまく受け止めてくださり、
満足のいくセミナーになったと思います。ありがとうございます。
結城が、セキュリティ上の理由から写真撮影禁止のお願いをしたところ、
高村先生は特別の配慮をしてくださいました。
高村先生ならびに、ご参加くださったみなさん、ご配慮ありがとうございました。
サイン会
セミナーの終わりにプチ・サイン会も開きました。
拙著をお持ちいただいた方に「スレッドお化け坊や」や「恋の冪級数」を書きましたよ。
図書館の瑞谷先生(仮名)は図書館にあった結城の本を抱えてきてくださいました。
「え? これ図書館の本ですよね。サインしちゃっていいんですか?」
「はい、ぜひお願いします」
ということで、
未来大の情報ライブラリーにある(当日貸し出されていなかった)結城の本は、
サイン付きになりました(!)。
へたな文字でごめんなさいごめんなさい。
懇親会
夜は先生方が一席もうけてくださり、
ビールと共に北海道のおいしい海の幸をいただきました。
イカ・根ぼっけ・じゃがバタ・本物カニサラダ…
ありがとうございます。
最後に
えっと、このWebページをお読みになった方の中には、
「えー、未来大に結城さん来てたの?! だったら行ったのに!」
という人もいらっしゃるかもしれませんよね。申し訳ありませんでした。
単なる講演会ではなく、互いに顔を見て意味のある議論をしたいという考えが結城にあったため、
広く参加者を募ることはせず、人数を絞ってクローズドなセミナーにさせていただきました。
世話役をしてくださった高村先生に苦情を言わないでくださいね m(_ _)m
繰り返しになりますが、
高村先生ならびに参加者のみなさんに心から感謝します!
なお、本記事の一枚目の写真はWikipediaから、
二枚目の写真は公立はこだて未来大学の美馬のゆり先生からいただいた書籍『「未来の学び」をデザインする』からの引用です。

「未来の学び」をデザインする―空間・活動・共同体
どれほど未来的かは以下の画像検索でどうぞ。
追記
上の記事で「デルタ」スペースと書いてあるのは「デルタビスタ」と呼ぶそうです。
二枚目の写真の左上にちょっと見えています。
デルタの形をしたビスタポイント(眺めのよい場所)という意味とのこと。
追記
このセミナーの内容は、書籍『数学ガールの誕生』としてまとめられました。
